漢検1級本番形式テスト②の解答
①読み(1~20は音読み、21~30は訓読み)
♢難易度☆☆☆☆☆
- ☆丁丁…とうとう(木を切る音や杭を打ったりする音が響く)
- 冕旒…べんりゅう(冕冠・礼冠の上部に垂らす、珠玉を通した糸縄)
- ○虔劉…けんりゅう(物を無理矢理奪い取ったり、殺したりすること)
- ☆殍餓…ひょうが(餓え死)
- 茆茨…ぼうし(粗末な屋根や粗末な家)
- 嶇嶔…くきん(山の険しい様)※嶔が範囲外のようです、失礼しました。
- ☆輒然…ちょうぜん(①直立して微動だにしない様 ②俄な様)
- 県廳…けんちょう(廳→庁の旧字)
- ☆丕基…ひき(天子が国を統治する大事業の土台)
- 犁鋤…りじょ(鋤(すき)と犁(すき、からすき)、鋤で耕作すること)
- ☆俶儻…てきとう(①才気があって優れていること ②独立していて拘束されないこと)
- 大逵…たいき(大通り)
- ☆薛…せつ(かわらよもぎ)
- ☆鱏鰉…じんこう(チョウザメ)
- ☆髫齔…ちょうしん(幼子)
- 廱和…ようわ(和らぐこと)
- ☆頌偈…じゅげ(経典の中で、詩の形で仏の徳を讃え、教理を述べたもの)
- 壅塞…ようそく(ふさぐこと)
- ☆朏…ひ(出たばかりの薄暗い月を表す字)
- 鴆毒…ちんどく(鴆という毒鳥の羽にある猛毒)
- ○鏨…たがね
- 痞える…つか(胸などが塞がる感じになる)
- ☆合決り…あいじゃく(板の接ぎ合わせの一つ)
- ☆榻…しじ(※調べた方が分かり易いです)
- 籬…まがき(竹・柴などを粗く編んで作った垣)
- 泯び…ほろ(滅びる)
- 湫り→潴…みずたまり※意読だったようです、失礼しました、
- ☆糶市…せりいち(競り市)
- 艀船…はしけぶね(停泊中の本船と波止場を往復して旅客や貨物を運ぶ小舟、艀)
- 恤い…うれ(色々と気を回す)
虔む…つつし
殍…うえじに
輒ち…すなわ、たちま
丕きい…おお
犁…すき、まだらうし
儻れる…すぐ
儻し…も
儻いは…ある
薛…かわらよもぎ、(はますげ)
鱏…えい、(ちょうざめ)
鰉…ひがい
髫…うない(髪の毛をうなじで束ねて垂らした昔の子供の髪型)
齔…はがわり、みそっぱ、おさな-い
廱…やわ-らぐ
朏…みかづき
・犁牛の喩え(リギュウのタトえ)
→どんな家柄に生まれようと、本人が優れた才能を持っていれば、必ず世に用いられるという教え
・犁牛…斑牛、黄と黒が混じった牛
・犁耕…牛に鋤を引かせて田畑を耕すこと
・犁い…くろ-い
・犁く…す-く
・犁…すき、まだらうし、しみ、からすき
※からすきは範囲外、しみは覚えなくていいと思います笑
・薛…セツ、かわらよもぎ、はますげ
・薜…ヘイ、ハク、かずら
似ているが別字なので注意
薛は特に熟語はなさそう……?
・頌…ショウ、ズ、ジュ、ほ-める、とな-える、たた-える
a,頌する(ショウ)…功績や徳を、文章や言葉にして誉める。
b,吟頌(ギンショウ)…唱えて読み上げる
c,頌徳(ショウトク)…人の功績や徳をほめたたえる言葉
d,頌栄(ショウエイ)…神を讃える歌(プロテスタント)
e,頌春(ショウシュン)…新年を讃え祝うこと
・偈…ケツ、ケイ、ゲ
特に頌偈、偈頌(ゲジュ)、偈(ゲ)以外の言葉は見当たらない。
全て同じ意味である。
・合決り
→合決で「あいじゃくり」と読む熟字訓なのですが
私の電子辞書では合決り→「あいじゃく-り」で訓読みとして表記されます。
かなり微妙なラインです。
辞書によって違うようで、どちらとも覚えておいて損は無いと思います。
・湫…くて(水草などが生えている低湿地帯、ぐて、くでとも読むらしい
・湫…シュウ、とどこお-る、ひく-い、せま-い、(みずたま-り)
・オマケの解答
☆簋…き(中国古代の穀物を盛るのに用いた鉢形の器)
範囲外でした(;_;)
②書き(19,20は国字)
♢難易度☆☆☆☆☆
難問、1級は②書きで四問以上落とすとその時点で結構キツイのでこの難易度が出題されると苦しいのではないでしょうか。
1, ○サゾかし
→嘸かし
2,ヤマヒダ
→山襞
3ケイセイの美女
→傾城・(契情)の美女(君主がその色香に迷って国を滅ぼすほどの美女の例え)
4,☆イトンの富
→猗頓の富(巨万の富)
5,○ヨウを作る
→俑を作る(悪い前例を作る)
6,ギヨウに堪えず
→伎癢、技癢に堪えず(持てる腕前を見せたくて仕方がないが、発揮するチャンスに恵まれずもどかしく思うこと。)
7,○すぼめる
→窄める
8,レンベイ辞職
→連袂辞職(多くの人間が一斉に辞職すること)
9,☆キビ政策
→羈縻政策(中国の歴代王朝が異民族を支配する際に採用した、武力を用いず有力者を懐柔し、自治を許し間接に統治した政策)
10,☆サクサンシ
→柞蚕糸(柞蚕の繭から採った太い糸、この糸で織ったものを絹紬という。)
11,☆ベキボウ
→幎冒(死者の顔に被せる布、臥薪嘗胆に出て来るので意外と正答率高いか?)
12,☆ドウバン
→幢幡(仏堂に飾る旗)
13,リュウサンダン
→榴散弾
14,☆イニョウチ
→囲繞地(袋地を取り囲む本人以外の所有の土地、またイタリアのサンマリノのような他の一国に完全に囲まれた領土)
15,☆コクショウ煮
→濃漿煮(味噌で濃く煮た料理、鯉の濃漿煮略してコイコクである。鯛などを用いることもある。)
16,☆コクショウ
→国殤(戦争で国の為に命を落とした者)
17,キュウコウ実践
→躬行実践(自分で実際に試すこと)
18,☆キュウコウ
→穹窖(弓の形をした穴倉)
19,カザリ職
→錺職
20,ヤチ
→萢(国字以外では谷地、谷と書く)
・袂…ベイ、たもと、そで
・縻…しば-る、つな-ぐ
・柞…サク、なら、ははそ、いすのき(蚊母樹)、き-る
石榴・柘榴…ざくろ
初歩の当て字なのでしっかり覚えておきたい。
・繞…ジョウ、ニョウ、まと-う、まつ-わる、めぐ-る
繞繞(ジョウジョウ)…まとわりつく
○キュウコウ…躬行、穹窖の他に
→救荒(飢饉の際に救助すること)
→窮寇(追い詰められ窮した敵)
→旧好(昔からのよしみ、旧誼)
→丘岡(土地の小高い所)
③選択
♢難易度☆☆☆☆
- 鳥が舞い上がり、舞い降りること
- 雑念や煩悩のこと☆
- 涙がほろほろと垂れる様☆
- 微かな利益
- 秘密を明らかにする手がかり
↓↓↓
- 頡頏(他に…互いに優劣が無いこと)
- 衆流
- 竜鍾(他に…落ちぶれて窶れた様、行き悩む)
- 蝿頭
- 秘鑰
シュル/ケッコウ/チンリン/ヨウトウ/
リョウショウ/ヒヤク/ランジャ/ハンサ
・ 沈淪…①深く沈むこと
②落ちぶれること 類:零落、落伍など
・蘭麝…良い香り 類:馥郁、芳卉など
・煩瑣…こまごまとして煩わしいこと
・截断衆流(せつだんしゅる)…煩悩を断ちきること
④四字熟語
♢難易度☆☆☆☆
- (甑塵)釜魚
- (銜哀)致誠
- (柳陌)花街☆※範囲外?
- (岸芷)汀蘭☆※範囲外かも
- (燥荻)枯柴☆
- 得隴(望蜀)○
- 韜光(晦迹・晦跡)→また「マイセキ」とも
- 衆賢(茅茹)☆
- 詩人(蛻骨)☆
- 珠襦(玉匣)
ボウショク/ソウジン/ボウジョ/
ゼイコツ/カイセキ/ソウテキ/ギョッコウ/
ガンシ/ガンアイ/リュウハク
・意味
- 非常に貧しいこと。
- 哀しみと誠意を持って死者を弔うこと。
- 色町のこと。
- 花が香り高く咲き、葉が青々としている。
- 敵船を焼き討ちにすること。
- 欲望には際限が無いこと。
- 才能のあるものを包み隠すこと。
- 知識や徳のある賢人が集まって力を合わせること。
- 上質なお茶を讃える語
- 美しく煌びやかなもの
・甑…こしき
〇銜…ガン、カン、くつわ、ふく-む、は-む、くわ-える
a,銜勒(がんろく)…轡と手綱
b,官銜(かんがん)…官位の一つ
c,銜尾相随(かんびそうずい)…切れ目無く一列に後ろを着いて行くこと、「銜尾相随う」
d,枯魚銜索(こぎょかんさく)…親が生きてるうちに孝行するべきという教え、枯→故でも可e,泥首銜玉(でいしゅかんぎょく)…謝罪や降伏などを意味する儀式
f,鳳凰銜書(ほうおうがんしょ)…天子の使者が命令を書かれた文を持ってくる
・柳陌…柳の並んだ通り、また色町
・お詫び
岸芷汀蘭の「芷」が1級範囲外
しかし漢検の四字熟語辞典には載っているそうです。
読みとしての出題はするよということでしょうか。
・茅茹…自分だけが重用されればよいとは考えず、協力すれば良い結果が得られるということ
○蛻…ゼイ、セイ、ぬけがら、もぬけ、もぬけ-る
a,蝉蛻(センゼイ)…①蝉の抜け殻 ②俗世間から超然としていること、俄に悟ること。
b,蚕蛻(サンゼイ)…蚕の抜け殻?
c,蛇蛻(ダゼイ)…蛇の抜け殻?
d,虫幼(一文字)蛻…ユウエツ、じがばち(※1級範囲外)
e,蛻る…蛇や蝉などが外皮から抜け出る。
・珠襦…宝石を縫い合わせた裾の短い美しい服
・玉匣…宝石で飾りつけた美しい箱
④-2 四字熟語の意味と読み
♢難易度☆☆
- 私情を挟まず、公正に政治を行うこと→(こうよく)
- 友人を手厚くもてなすこと→(せんきゅう)
- 聞き手を圧倒する鋭い弁論を話せること→(ひょくじん)
- 飾り気が無く慎ましいこと→(れいじょう)
- 貧しい生活をしながらも勉学に励むこと→(だんせい)
・蔾杖韋帯(れいじょういたい)
→飾り気が無く慎ましいこと
・断薺画粥(だんせいかくしゅく)
→貧しい生活をしながらも勉学に励むこと
・喙長三尺(かいちょうさんじゃく)
→口が達者なこと
・孔翊絶書(こうよくぜっしょ)
→私情を挟まず、公正に政治を行うこと(仮)
・蓽門閨竇(ひつもんけいとう)※蓽が1級範囲外
→貧しい家のこと
・優游涵泳(ゆうゆうかんえい)
→ ゆったりとした気持ちで学問や芸術を深く味わうこと
・鋒芒逼人(ほうぼうひょくじん)
→聞き手を圧倒する鋭い弁論を話せる人
・冒雨剪韮(ぼううせんきゅう)
→友人を手厚く持てなすこと、
・没問題;解答
(ヨクイ)明珠→薏苡(漢字自体は範囲内なので読みとしては出るかも、故事成語)
(カテツ)綿々→瓜瓞(瓞が範囲外)
孤臣(ゲツシ)→孼子(漢字自体は範囲内、読みとして出るかも)
・薏苡明珠→無実の疑いを掛けられること
・瓜瓞綿々…子孫繁栄を願う例え
・孤臣孼子…軽侮されがちな庶子
・孼→ゲツ、ひこばえ、わきばら、わざわ-い
⑤熟字訓・当て字
♢難易度☆☆☆☆☆
難問、6点取れたら凄い?
- ☆繡眼児…めじろ
- 竜蝨…げんごろう
- 氷下魚…こまい
- 牛尾菜…しおで
- 地楡…われもこう
- ☆百両金…からたちばな
- ☆巫鳥…しとど
- ☆尸童…よりまし(神のお告げを言わせる為の憑代となる人形や子ども)
- ☆匹如身…ひるすみ(財産も家族もない身一つであること)
- ☆御佩刀…みはかし(貴人が腰に佩びる刀)
牛尾菜…山菜の女王
・ 巫鳥
鵐でも「しとど」と読むが、1級範囲外っぽい。
・尸
しかばね、かたしろ、つかさど-ると読む。
音読みは「シ」
a,尸位…才能が無いのに高い地位に就いて何もしないでいること「──素餐」
b,尸解…体をこの世に残し、魂だけ抜け出す仙術
c,尸諌…屍となって、主君を諫めること
d,尸禄…官職に着き、職責を果たさずに給料を取ること
e,行尸走肉…全く役に立たない人
f,鶏尸牛従…大きな組織でいいなりになるより、小さな組織で上に立つ方がいいということ
g,流血浮尸…戦場で死んだ人や怪我人が多いこと
A,尸所(かばねどころ)…①墓場 ②死に場所
B,尸者(ものまさ)…葬儀で、死者に代わって弔問を受ける者
C,尸(かたしろ)…①神を祭るとき神霊の代わりに置く物
⑥熟語の読み・訓読み
♢難易度☆☆☆
- 釐正…りせい(改め正すこと、改正)
- 釐める…あらた(める)※おさ-めるとも読めるがこの場合はあらためるがより適当である。他にたま-う、わず-か
- 〇瀏亮…りゅうりょう(楽器の音などの澄んでよく聞こえる様)
- 〇瀏い…きよ(い)
- 秋杪…しゅうびょう(秋の末)
- 杪わり…お(わり)→他にちい-さい、ほそ-い
- 燮理…しょうり(やわらげ治めること、宰相として国を治めること)
- 燮げる…やわら(げる)
- ☆莅事…りじ(物事に臨むこと)
- 莅む…のぞ(む)→他にゆ-く、おこな-う
・瀏亮…類:瑩徹エイテツ
⑦対義語・類義語
♢難易度☆☆☆☆☆
恐らく超難問、2,3以外が難しい
- 有識⇄管蠡☆
- 酣酔⇄微醺〇
- 隠蔽⇄剔抉〇
- 宿老⇄黄吻☆
- 衰勢⇄滔天☆
- 慈母=萱堂☆
- 宿痾=痼疾
- 伏竜=遺賢☆
- 九天=霄漢
- 物故=捐館☆
テッケツ/エンカン/コウフン/コシツ/イケン/カンレイ/トウテン/ケンドウ/ショウカン/ビクン
・管蠡は「管窺蠡測」を略したものと思われる、四字熟語としても覚えておく必要がある。(意味は見識が狭く知識が偏っていること)
・酣酔…酒に十分に酔うこと、類:泥酔
・微醺…少し酒気を帯びること
・剔抉…隠していることを暴き出すこと
・宿老…年を取り豊かな経験を積んだ人
・黄吻…年齢が若く経験の足りないもの、黄口、白面(H29-3の類義語で黄吻が出題されたようで、一歩遅かった笑)
・滔天…天に達するほど漲り溢れる、勢いの盛んなこと
・萱堂…母親の敬称、難問
・宿痾…前々から罹っていてなかなか治らない病気
・痼疾…長い間治らない病気
・遺賢…才能はあるが、民間に埋もれている有能な人物
・ショウカン
♢1級相当
…霄漢(大空)
…檣竿(帆柱、檣→ほばしら)
…哨艦(哨戒の任にあたる軍艦)
…峭寒(厳しい寒さ)
♢常用漢字の難問
…消閑(暇を潰すこと)
…娼館(遊女屋)
…掌管(司ること)
…傷寒(高熱を伴う急性疾患、腸チフスなど)
…照管(気をつけること)
…照鑑(神仏などが明らかに見ること)
…縦観(思うままに見ること)
♢覚えておきたいもの
…少閑(僅かな暇)
…召喚(裁判所などが日時と場所を指定して被告人や証人を呼び出すこと)
…召還(大使などの派遣していた者を本国に呼び戻すこと)
…償還(借りを返すこと)
・物故…人が死ぬこと
・捐館…(館を捨てる意)身分の高い者の死
・捐…エン、す-てる、あた-える
「捐」を用いた他の熟語例
a,棄捐(キエン)…捨てて用いないこと、捐棄
b,義捐金(ギエンキン)…慈善や被災者の為に差し出す金品、義援金は代用表記
c,捐班(エンパン)…買官して役人となったもの、捐納
d,畝捐(ボウエン)…金で納める田租、田地の税
e,捐階…階を捐(のぞ)く、
f,国亡捐瘠(コクボウエンセキ)…不明、捐瘠は捨てられ、飢え衰える意
⑧故事・ことわざ
♢難易度☆☆☆
- 竜馬の躓き
- 倉廩実ちて囹圄空し
- 社稷墟となる。
- 魯陽の戈。
- 紅は園生に植えても隠れなし。
- 五斗米のために腰を折る。
- 桑楡且に迫らんとす
- 明は以て秋毫の末を察するに足れども而も輿薪を見ず
- 様に依りて胡蘆・葫蘆を画く
- 牖中に日を窺う
○ソウリン
- 倉廩…穀物を蓄えておく倉☆
- 双輪…②2つ揃わなければ役に立たない物事の例え
- 相輪…仏塔の最上部の装飾部分☆
- 僧林…僧が多く集まっているところ
- 叢林…藪や林、寺院、特に禅寺をいう☆
- 霜林…霜にあって、色づいた林
☆は同音異義語として出されそうな熟語
・社稷(しゃしょく)
①土地の神(社)と五穀の神(稷)
②国家、朝廷
③朝廷、国家の尊崇する神霊
・魯陽の戈(ろようのほこ)
あり得ないことを起こしてしまうほど勢力の大変盛んなこと
・園生(そのう)
庭園のこと
・五斗米(ことべい)
僅かな俸給
・桑楡(そうゆ)
①クワとニレ
②日の没する所、夕暮れ
③晩年、老年
類義語で出て来そうですね。
・明は以て秋毫の末を察するに足れども而も輿薪を見ず
いくらよい視力があろうと、それを用いなければ役に立たないこと、また、小事に心を奪われて大事を見失うことのたとえ。
・様に依りて胡蘆を画く(葫蘆は「葫」が範囲外のようです、失礼しました。)
先例に従っているだけで創意工夫がないことのたとえ胡蘆…夕顔、ひょうたん
胡蘆巴(コロハ)…マメ科の植物、漢方に用いる
胡廬鯛(コロダイ)…多分出ないとは思いますが、もし出てきたら草冠は書かないように笑
・牖中に日を窺う
見識が狭いこと、知識が浅薄なこと
⑨文章問題(自主制作)
♢難易度☆☆☆☆☆
私が住む小島は漁業が盛んで、見渡す限り (a) 蜑戸 (たんこ)と漁夫の家が並び、村の男は成人すると殆どの者が海に纏わる仕事に就く。
私もその例に洩れず、 (b) 漁翁 (むらぎみ)である父と同じ海人になった。
ある日、いつもと同じように(c) 枹 (なら)でできた竿立てに掛けてある銛を持ち海へ出ると、ふと、海の前で佇立してしまった。
倦怠感が有るわけでも無いのだが、異常に体が重いのだ。
手を見ると、何やら白いものが粉葺いている。まさか ① 毛蝨・毛虱 かと一瞬心配したが、どうも違う。
暫くすると、(d) 怦怦 (ほうほう)としながらも次第に体が海を求めるようになったので、獲物を漁りに赴いた。
この海は年中通して温暖で、色彩豊かな魚と珊瑚礁が常に彩っていて、不漁に憂えることは無い。
また魚や(e) 贇 (いん)たる貝類、鮑など饗膳に用いるような珍味も多く、旅客は珍しい② 異観 と食事を楽しみにこの地を訪れる。
貝を採るのは海女が専念するという習わしがあり、代わりに男衆は魚や甲殻類の大物を狙う。
特にアオブダイの大物は島神への重要な③ 幣帛 とされる為、獲った暁には、神饌を捧げた者として盛大に持て囃され、一年中食に困ることがない。
今日は体調が優れてなさそうなので、特に大物を狙わずに伊勢海老などの高級な食材に狙いを絞ることにした。
少し泳いでみるが伊勢海老は見つからず、代わりに小ぶりの(f) 虎魚 (おこぜ)を見つけたので、忍びながら近付き銛を構えようとすると、銛はするりと落下してしまった。
しまったと目線を掌に向けると、 私の手が溶けている、否、散り散りになっている。
手が塩のような粗目状の粒か、粟のような何か分からぬものになって海の中で分解されているのだ。
ふと、視線に気付く。
④ 蝦蛄・青竜蝦 が此方を炯眼越しに睨んでいる、彼は海人にとって忌避すべき存在で、その巨螯に⑤ 打擲 されれば人間の骨であろうと容赦なく⑥ 乱離 骨灰にされる。
逃げなくては、と意識だけが先に進んで体は一向に動かない、彼は私を甚く惆悵しているようで、「仲間を何処にやった。」だとか恨み言を呟きながら、じりじりと間を詰めてきた。
私の心臓は⑦ 恟然 とし、この時初めて明確に野生の生物に対して畏怖し、神に祈った。
私が「狩られる側」に来る日のことなど想像もしていなかった。
渾身の一撃が私を穿った時、正体を理解した。
塩──、違う、これはプランクトンだ。夥しい数のプランクトンが私の細胞一つ一つを蝕んで掌打の衝撃と共に体は霧散する、不思議と痛みは無い。軽くまとまりの無い体は沖へ向かう海流と共に流され沈んでいく。
急に流れが強くなる、怒濤の勢いで下っていく、辺りはすっかり夜になってしまった。
母なる者は私から体を奪うだけでは足りぬようで、微光すらも届かぬ場所に⑧ 縲紲 したいようだ。どうも甚く嫌われてしまった。
何もできぬ儘、杳とした世界に雪として降り注ぐ、花火のように薄れながら儚く沈んでいく。
途中大きな口をした漆黒の鱧のように長い生物に食われて、また私の体は小さくなった。そのような生物に次々に食われるものだから、(g) 淤泥 (おでい)が積まれた底につく頃には随分と数が減ってしまった。
疲れて伏せていると、掃除屋達がばらけた私の一粟を(h) 鬯 (においざけ)の如く有り難がって(i) 酳ぎ (すす)、お疲れ様と囁いてくるものだから、私の咎が俄に融解されて⑨ 清浄 (しょうじょう)心が胸を満たしていく。
泥の(j) 牀榻 (しょうとう)に横たわりながら、「また巡るよ」と呟いて、束の間の⑩ 偃息 に浸り、次第に大いなる棺の中で私は世界に融けていった。
銛、鮑、珊瑚礁、怒濤、鱧、咎は問題として出して無いですが、初歩問題として書けるようにしておきたい。
・蜑戸(たんこ)
海人の住む家、蜑→蛋と同じ読みと考えると覚えやすい
・漁翁、邑君、漁父(むらぎみ)
①農民の頭
②漁夫の長
※
・佇立(ちょりつ)
暫くの間立ち止まっていること
・怦怦(ほうほう)
※下に詳細あり
・異観(いかん)
①普通には見られない珍しい景色
②変わった情景、奇観
※「偉観」でも通りそうだが、前に珍しいと着いているので「異観」がより適当
・幣帛(へいはく)
神前に供えるものの総称、みてぐら
幣…みてぐら
・神饌(しんせん)
神祇に供える飲食物の総称
・炯眼(けいがん)
※下に詳細あり
・贇たる(いん)
※正しい使い方なのかは不明
熟語かないので一文字で読みとして出題される他ない漢字
美しい様、貝殻の模様が美しいこと
・巨螯(きょごう)
勝手に作った造語 、蟹螯カイゴウで蟹のハサミとして使う。
車螯…おおはまぐり
・打擲(ちょうちゃく)
人を叩く、殴ること
・乱離骨灰(らりこっぱい)
めちゃくちゃになること
・惆悵(ちゅうちょう)
恨み嘆くこと
・恟然(きょうぜん)
※下に詳細あり
・夥しい(おびただ-しい)
極めて多い
・縲紲(るいせつ)
罪人を縛る縄、また獄に繋がれること
・杳として(よう)
はっきりとしない様
・淤泥(おでい)
川や池などに溜まった泥
今回は海ですが、本来は海の泥を表す語としては使わないっぽいです。
・清浄(しょうじょう)
仏:煩悩や罪が無く清らかなこと、せいじょうと読めば別の意
・偃息(えんそく)
横になって休むこと、偃憩
なら…楢、枹、柞
○ほうほう
- 怦怦…どこか不安で落ち着かないさま、気が急くさま
- 蓬蓬…風が強く吹く、草木の葉が勢いよく茂っている、髪や髭が伸びて乱れているさま
- 彭彭…多いさま、また甚だ盛んなさま
- 方袍…袈裟のこと
○ケイガン
○キョウゼン
- 恟然…恐れ騒ぐ様
- 跫然…足音のする様
- 饗膳…馳走の酒肴
○ショウジョウ
1,清浄心(しょうじょうしん)
→煩悩を去った、清く穢れの無い心。
2,霄壌の差
→非常に大きな相違、雲泥の差
3,猩々飲み
→がぶ飲み、鯨飲
また、猩々蝿、猩々菅(しょうじょうすげ)や猩々蝦などショウジョウ+生物は殆どが猩々で正解。
鐘状花冠(しょうじょうかかん)は注意。
4, 正定聚(しょうじょうしゅ)
→三定聚の一。必ず涅槃の世界に至ることの定まっている者たち。
また同じショウジョウを使う語に
正定業(しょうじょうごう)
→浄土に生まれることを決定する行為。
5,生々世々(しょうじょうせぜ)
→生きかわり、死にかわりして生を得た世。
6,掌上に運らす(しょうじょうにめぐらす)
→意のままに操る。
7,蕭条
→ひっそりとしてもの寂しいさま。
8,誚譲
→罪を責めること?⇄宥免
※正確な情報求む;
〇榻…大問①読みの訓読みとしても出題。
a,牀榻、床榻(しょうとう)…寝台、臥榻
b,石榻(せきとう)…石のベッド
c,禅榻(ぜんとう)…禅の修業をする時に用いる腰掛け
d,榻本…石摺りの本
・海の生物
虎魚(オコゼ)…鰧
鱧(ハモ)→ 海鰻(あなごとも)、海鰻鯉
伊勢海老→竜蝦、また魚編に高いでいせえびと読むようです
青武鯛(アオブダイ)…内臓に毒があり危険、食用として適さないが取り除けば食べれるらしい、黄金伝説で浜口さんが食べてましたね。
・鬯(においざけ)を(かおりざけ)と表記していました、失礼しました。
以上、解答でした。
補足を書くの頑張りました笑
かなり難易度は高いと思います。
本試験に出そうだなと思う難問を多く入れました。
黄吻や牖中がつい最近出たようで、一歩遅かったようですが…。
難しかったよという問題や点数、
誤字や説明の不足、別解などお気付きの点があれば
こちらのコメント欄かTwitter →https://twitter.com/sanasana_gumi?s=09にてご一報下されば幸いです。
次は☆☆☆ぐらいの難易度で作ると思います。
今度はもう少し間隔開くかもしれません。
では、良い漢字ライフを~